ティー・エポック・コンサルティング株式会社
T-Epoch Consulting


「システム」を超えて
 
  前回は、「システムと作業の質」というお話をしました。今回は「システム(しくみ)」の重要性
 を認識しながらも更に「その先」を目指そうというお話です。

  「システム(しくみ)」は重要です。作業やサービスの”質”を、ある一定のレベルに持っていく
 ために。また、誰がその「システム(しくみ)」の中に入っても同じようにやれるように。
  逆に、「システム(しくみ)」は予定した以上の”力量”や”質”を求めないので、「システム
 (しくみ)」の通りに作業等を行っている限り、想定された以上のパフォーマンスを得られる可能
 性は低くなってしまいます。

  例えば、小売業における「チェーンストア理論」は、店舗展開、とくに大量に店舗を出店してい
 く場合に必要不可欠な「システム(しくみ)」を与えてくれます。
  4〜5店舗までは、優秀な店長がいて、彼らに任せておけば店舗運営はうまくいきます。しか
 し、20店舗、30店舗と店舗を増やしていこうとすると、店舗運営に差が出てきて全体としてうま
 くいかなくなります。なぜでしょうか。それは”優秀な”店長はそんなに多くはいないからです。
  店長だけでなく、自ら考え、多少のミスはしながらもちゃんと行動して問題を解決できる従業
 員がそれ相応の人数いれば、店舗運営は安定するとも考えられます。しかし、現実問題として、
 そのような”自律的な”従業員もそう多くは存在しません。

  組織としての基盤が「システム(しくみ)」によって固まったら、次はどうしたら良いのでしょう
 か。
 小売業に限らず、「しごと」は”決定的瞬間”の連続であると言えます。「私は昨日入ったばかり
 だから仕事の内容がよくわかりません」では本当は済まないのです。だからこその「システム
 (しくみ)」なのですが、上述の通り、それだけでは想定範囲内のパフォーマンスしか期待できな
 くなってしまいます。
  マニュアルで示されるレベルの”質”で満足していれば、本当に求めるレベルには行き着けな
 いということです。
  そこで何が必要か。
  それはやはり社員一人一人が、そのことに気付くことなのだと思います。一人一人が気付き、
 意識して一歩先のパフォーマンスを提供する。そういうチャレンジが必要になってくるのではな
 いかと思います。
  また、それと並行して、一人一人がスキルアップを図ることも大切です。
  マネジメントは、「システム(しくみ)」が提供する最低限の”質”をキープしつつ、さらにその上
 を目指すため、個々人をモチベートするという大切な役割を担っています。
  これらが機能して初めて「システム(しくみ)」が想定する”質”のレベルを一つ上げることがで
 きるのです。

  ちなみに、マネジメントシステムは、その中に存在する個々の「システム(しくみ)」あるいはプ
 ロセスのパフォーマンスを監視し、「システム(しくみ)」上の不具合を修復するとともに、環境変
 化に対応するよう自己改革(変革)するためのしくみであると思います。
  しかし、そのしくみであるマネジメントシステムを動かすのは人なのです。
  本当に「システム(しくみ)」を超えて”質”のレベルを高めていくのは個々人の意識によるとこ
 ろが大きいと言えます。一人一人が強くなる、あるいはそのことを意識することで初めてマネ
 ジメントシステムは機能し始めるように思います。

 
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