ティー・エポック・コンサルティング株式会社
T-Epoch Consulting


「維持する」とは
  「維持する」ということはどういうことを言うのでしょうか。
  ISO9001:2000の要求事項4.1項には次のように書かれています。
  ※ISO9001に限ったお話をする気は全くありませんが、一例として挙げます。

  「組織は、この規格の要求事項に従って、品質マネジメントシステムを確立し、文書化し、実
 施し、かつ、維持すること」
  これは一例で、ISO9001に限らず様々な規格、基準、その他の場面で使用されています。
  日本語で文字通り考えると「そのままの状態を保つこと」になるように思われます。
  しかし、本当にそう考えるだけでよいのでしょうか。

  先ほどの例を規格の原文(英語)でみるとどうなっているでしょう。
  ”The organization shall eatablish, document, implement,and maintain a quality management
 system and continually improve its effectiveness in a accordance with the requirements of
 this International Standard.”

  「維持する」の部分は”maintain”という言葉が使われています。
  「維持する」と”maintain”では随分イメージが違うと思いませんか。どちらかというと原文の方
 は、「様々な変化・変更に合わせて仕組みも適切に対応させる」というイメージがあります。
  ※英英辞典では”to keep something in existence at the same level”という説明に加えて、”keep something in good condition or working order by
    checking or repaireing it regularly.”とあります。


  一般的に企業内で定められたルールの類は後生大事に守ろうとする傾向があります。
  いったい「ルール」や「仕組み(制度)」は何のためにあるのでしょうか。
  いろいろなお客様のお手伝いをさせていただいていると、「それがルールだから」という理由
 で、それこそ「維持」されているものが多くあるように見受けます。しかも皆が疑問を感じながら
 「維持」しているのです。もう「維持」することが目的になっているかのようです。
  さて、もう一度「維持する」ことの意味を思い出して下さい。また、「ルール」や「しくみ(制度)」
 をが存在する目的も合わせて考えてほしいのです。
  「ルール」や「しくみ(制度)」は目的を達成するために存在します。構築時にどんなに目的に
 に合ったものでも、時間がたち状況が変われば目的を達成できなくなります。新たな戦略に基
 づいてビジネスを行おうとする場合、周りの環境が大きく変化した場合、それらに合わせて「ル
 ール」や「しくみ(制度)」は変更しなければなりません。これこそが「維持する」ことであると私は
 考えます。
  変えることを恐れてはならないのです。変えてこその「維持」であると考えてほしいと思います。
  もし「維持する」必要が無くなったり、無駄になったりするようでしたら思い切って「廃棄」し、目
 的に合った新たな「ルール」や「しくみ(制度)」を構築すれば良いのです。

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