ティー・エポック・コンサルティング株式会社
T-Epoch Consulting


  
本稼動後のシステム品質とバスタブ曲線
  下の図は「バスタブ曲線」と呼ばれるものです。
  工業製品では下図のように故障率が変化します。故障率と使用時間の関係から、故障率のカーブが ちょうど
バスタブの形を示すことからその名がつきました。
◆図をご覧ください◆
  製品のライフサイクルは、故障面からみると「初期故障期間」「偶発故障期間」「磨耗故障期間」の
 3つの期間に分類できます。
◆説明をお読みください◆
  ■初期故障期間:設計上、製造上の欠陥による故障が大多数を占める期間。この期間には、
   製品を徹底的に使い込んで、デバッギングを促進することが要求されます。
  ■偶発故障期間:偶発的な原因によってランダムに故障が発生する期間。偶発故障が主原因
   であるため、一般に故障率が一定値を保つとして扱える期間です。製品を使用するのは、
   通常この期間に限られることから、この期間は有効寿命と呼ばれます。
  ■磨耗故障期間:構成部品の寿命がきたために、故障率が増大する期間。一般にこの期間に
   入った製品は、修理しても無駄であり、新品と交換することが必要となります。

  ソフトウェアの場合、「磨耗故障」は無いように思われますが、度重なる仕様変更、機能追加など
 によりシステムが複雑になり全体バランスが崩れバグが出やすくなったり、環境の変化によって機
 能や性能が陳腐化するなどが当てはまります。

◆ここでもう一度図をご覧ください◆

◆続けて説明をお読みください◆
  ここで問題なのは、ソフトウェアの多くが「初期故障期間」の前もしくは「初期故障期間」の
 初期にユーザーにリリースされているということです。

  本来「初期故障期間」はシステムを構築する企業内で経過されるべき期間です。
  それにも関わらず、ユーザーにリリースされてから、単純なバグによるトラブルが相次ぎます。
  まるで「開発期間を短くされたからテスト期間を短縮し、本稼動後実際に使ってもらったところで
 逐次バグをつぶせばよい」と考えているかのようです。

  本稼動後のシステムの品質は、一つには初期故障期間を「どこで過ごすか」ということにかかっ
 ています。
  これにはSI企業側の「品質保証」の意識と仕組みだけなく、顧客側の「品質管理」に対する意識
 と態勢が大きく関わっていると考えます。

  システムの「初期故障期間」を可能な限り本稼動前にもってくるにはどうしたら良いのか、構築を
 依頼する側と受ける側双方がよく検討すべきではないかと考えます。

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