◆システムエンジニアのための人事評価制度が必要な背景
なぜシステムエンジニアの人事評価の制度が必要なのでしょうか。
その大きな理由は、次の1点につきると思います。
☆SEの生産性やプロジェクトの成否は、SEのやる気・モチベーションに負う部分が極めて大きい
近年、多くの企業では基本的なシステム化が完了し、システムを運用管理(維持管理)していくことに費用
より多くかかるような状況になっている。そのため、システムの開発に投資できる費用は必然的に少なくな
っている。その上、なぜシステムにこんなにお金がかかるのか??という経営者の疑問は、あいかわらずく
すぶっているのが現状です。従って、システムの開発にかかる費用は削減され、また、事業の変化のスピ
ードからシステムの開発にかかる期間も短くという要求が強くなっています。また、プロジェクトも小粒のもの
が多くなり、一人のエンジニアがいくつかのプロジェクトを掛け持ちしなければならないようなことも増えてい
ます。それに伴い、システム開発のプロジェクトの状況も厳しさを増しています。当然火を吹くプロジェクトは
後を絶ちません。その中で最前線で仕事をしているのがシステムエンジニアなのですから、その苦労は大
変なものです。やる気をなくされるととたんに生産性はがた落ちになってしまいます。それでより一層のプロ
ジェクトの赤字は拡大するのです。
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◆従来型の人事評価制度の問題点
従来型の人事評価制度にはいくつかの大きな問題がありました。
その背景には、高度成長期に設計された制度や考え方が踏襲されているケースが多いこと、親会社の評
価制度の考え方に準拠して情報子会社の制度を作ってしまったケースが多いことなどがあります。そのた
め、多くの企業で潜在的に以下のような問題を抱えていると思われます。
・減点主義の評価制度になっている
振るい落とすという古い考え方が根強い、社内指向になり社内調整型人材が相対的に評価が高くなる
傾向がある
・年功序列の色彩が強い
亀の甲より年の功で、どうしても年功序列の考え方になりやすい。
・職種と役割の考え方がはっきりせず、ジェネラリスト指向になりがち
一般的な傾向として、部長や課長はえらいという意識がある。マネジメントも一つの職種、システムエン
ジニアも一つの職種という考え方になかなかなれない。そのため年を取ると課長(マネージャー)にしな
ければと考える傾向がある。
・SEのスキルをきちんと評価できない
ITは技術進歩が早いということもあり、システムエンジニアの評価の項目や基準の設定が難しい
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◆これからの人事評価制度の方向性
安定成長の時代に入り、評価制度も、より自律型の人材を高く評価できるような制度への転換が必要にな
ってきています。マネジメント力や高い技術力で積極的に会社のビジネスの拡大にチャレンジしていくよう
な人材を多く抱える企業が伸びていくと考えられます。そのためには、以下のような人事評価制度が必要
になってくると思われます。
・システムエンジニアのスキルを正当に評価できるような制度
求める人材像をベースにその中に職種をきちんと定義し(例えばアプリケーションエンジニアやテクニ<カル
エンジニア)、その職種に必要なスキル評価項目と評価基準を設定する必要があります。但し、あまり複
雑にならないように、システムエンジニアとしてのスキル項目は一つの共通的な体系にしたいものです。
近年は、ITスキルスタンダードの体系が示され利用できるようになっています。そのままでは使えません
が大いに参考になると思います。
・会社の業績向上に積極的に関与し、挑戦する人材のを高く評価できるような評価制度とする
いろいろな新しいことにチャレンジする人を評価してあげることが大事です。難しいテーマに挑戦し失敗した
ら減点というのでは困ります。もちろん失敗ばかりでは駄目ですが。いくつかチャレンジして1つうまく行け
ばいいというのが、この業界の通例なのですから。そのためには、人の行動特性や人間力の評価をきちん
と行うことが必要になります。
・事業目標と直結した目標管理による業績評価を行う
評価制度は、事業計画や事業目標と無縁ではありません。部門や個人の目標が達成できたのに、会社
は赤字という笑えない結果になります。会社の事業目標と直結した部門目標や個人目標を設定する必要
があります。また、それをきちんと評価して、個人の業績としてあげなければいけません。
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